【醍醐寺】4 上醍醐・下醍醐の壮大な仏教施設。醍醐水、薬師如来、五大明王

◎山の上の上醍醐と麓の下醍醐がある
◎五重塔がある。京都で一番古い木造建築物
◎醍醐水がある
◎醍醐寺の中心的な寺院・三宝院がある

ゆかりの人物:聖法上人(しょうぼうしょうにん 創建)
創建:平安時代

醍醐寺を創建したのは聖法上人。
聖法上人は山岳で修業を行う修験道者だった。
そのため、最初に修験の場を築いたのは笠取山の上で、開山堂はここにある。
後に麓に金堂、五重塔が建てられ、醍醐寺は上醍醐、下醍醐からなる広大な寺院となった

一般的なお参りは下醍醐

下醍醐の伽藍(仏教施設)

五重塔【国宝】


京都で一番古い木造建築物。
醍醐天皇のご冥福を祈るために子の朱雀天皇が建立にとりかかった。
安土桃山時代、豊臣秀吉が修理した。

大きく立派であるが、地味に建っている。

清瀧宮本殿【重要文化財】


清瀧宮は醍醐寺の鎮守の神。

醍醐寺を開いた聖法上人は空海の孫弟子。

空海は長安の「青龍寺」で修業を修めた。
空海が日本に帰国する際、青龍寺を守護していた龍女が空海を守って一緒に日本にやってきた。遠く海をわたってきたのでサンズイをつけ、「清瀧」としたといういわれがある。
初めは上醍醐に建立されたが、後に下醍醐にもつくられた。
上醍醐に清瀧宮本殿と清瀧宮拝殿【国宝】が建てられている。

金堂【国宝】


醍醐寺の中心のお堂。
本尊は薬師如来【重要文化財】。日光月光菩薩、四天王に囲まれている。

三宝院

三宝院は醍醐寺の中心の寺院。

南北朝の争いの際、醍醐寺・報恩院は後醍醐天皇をバックアップしたが醍醐寺・三宝院は足利尊氏を支援した。
尊氏が勝利して以来、三宝院の醍醐寺における優位が確立され現在に至っている。
豊臣秀吉の時代には、秀吉と強いつながりをもち、醍醐の花見の会場になるなど栄華を極めた。

三宝院だけでも国宝、重要文化財があり、特に庭園は国の特別史跡・特別名勝に指定されている。

三宝院 唐門【国宝】


唐門は、朝廷からの使者を迎えるための門。
現在のものは修復されたもの。

三宝院 国宝、重要文化財の間

葵の間【重要文化財】


京都三大祭りの葵祭の風景が描かれている。

秋草の間【重要文化財】


秋の七草が点在する広々とした風景が描かれている。

勅使の間【重要文化財】


襖絵は竹林花鳥図。長谷川等伯に連なる一派の作といわれている。

表書院【国宝】 襖絵【重要文化財】


下段の間は畳を上げると能舞台になる。

下段の間の襖に描かれているのは孔雀と蘇鉄。石田幽汀の筆による。

三宝院 庭園

上醍醐。豊臣秀吉と徳川家康も醍醐の花見の下見に登った。醍醐水はここ


上醍醐はちょっとしたハイキングで往復2~3時間かかるので、運動靴で入山することをお薦めする。

不動の滝


人工の滝。滝口付近に不動明王、滝壺付近に地蔵菩薩が祀られている。
山道の途中にあり、涼し気。

槍山


豊臣秀吉が醍醐の花見の際、ここに花見御殿が建てられた。

花見御殿。現在は三宝院に移されている。

清滝宮拝殿【国宝】


醍醐寺の鎮守の神、清瀧宮。
ここに建立されたのが初め。後に下醍醐にもつくられた。

清滝宮本殿

醍醐水 醍醐寺の由来となった水

醍醐寺の由来

空海の孫弟子で修験道者だった聖宝上人が山道を昇っていくと、この山の地主の神だという老人に出会った。
この老人は湧き出る水を飲み「甘露、甘露、ああ醍醐味なるかな」といい、「この地をあなたにあげる。あなたがここに寺を建てたら守ってあげよう」といって姿を消した。

その山が笠取山。聖宝上人はここに祠を建てた。
これが現在の上醍醐となる。

この醍醐味な水・醍醐水は現在も湧きだしている。

現役。

醍醐というのは牛乳や羊の乳で作った最高においしいもので、仏教では仏法が心の糧として最高であるという意味がある。

准胝観音堂焼跡


醍醐寺を創建した聖宝上人が最初に建てた建物。
2008年8月24日落雷による火災で焼失した。

火災を伝えるニュース映像

薬師堂


平安時代、醍醐天皇の命により創建された。
火災により焼失し約200年後(平安時代)に再建された。

五大堂


平安時代、醍醐天皇の命により創建された。
火災による焼失で現在の建物は昭和に再建されたもの。

如意輪堂


醍醐寺を創建した聖宝上人が最初に建てた建物。
火災による焼失で江戸時代、豊臣秀頼によって再建された。

開山堂


醍醐寺を創建した聖宝上人を安置したお堂。
火災による焼失で江戸時代、豊臣秀頼によって再建された。

醍醐寺の仏像 お宝がたくさん

醍醐寺には国宝、重要文化財の仏像が多くある。
併設の霊宝館(博物館)ではおもな仏像が展示されていて必見。
すべてでなかったり、ほかへ”遠征”している場合もある。

霊宝館で拝観できる

薬師如来・日光菩薩・月光菩薩【国宝】。醍醐寺の本尊。


(平安時代)

千手観音立像【重要文化財】。本体は黒漆地。


黒漆地の本体に42本の手の持ち物が映える。

如意輪観音坐像【重要文化財】

「如意輪」は車輪のように自由に転がっていく宝珠(釈迦の遺骨を収める器)という意味で、如意輪観音は自由自在に人々を救ってくれる菩薩。
(平安時代)

不動明王像【重要文化財】。快慶作

五大明王像【重要文化財】


三宝院護摩堂に安置されていた。
(平安時代)

吉祥天立像【重要文化財】

屋外でみられる

金剛力士立像【重要文化財】。西大門。勢増、仁増 作


(平安時代)

特別展に期待

弥勒菩薩坐像【重要文化財】。快慶作


(三宝院に安置)

虚空菩薩立像【国宝】。高さ約50cmでとてもキュート


醍醐天皇の念持仏。
(平安時代)

閻魔天騎牛像【重要文化財】

帝釈天騎牛像【重要文化財】

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