◎伊勢神宮に仕える斎宮(斎王)に選ばれた皇女が、伊勢神宮に赴く前に、禊の日々をおくったところ。
◎紫式部『源氏物語』、吉田兼好『徒然草』などでも記載がある。
ゆかりの場所:伊勢神宮
斎宮(いつきのみや)とは。禊(みそぎ)とは
野宮神社(ののみやじんじゃ)は斎宮に選ばれた皇女、女王が伊勢神宮に赴任する前に、心身を清めるために3年間禊をした場所。
斎宮(斎王)とは
斎宮は天皇の代理として伊勢神宮に仕える皇族の未婚女性。
占いで選ばれる。
選ばれると人間としての生活から隔離され、宮中に新たにつくられた初斎院(しょさいいん)で1年間生活し、その後3年間野宮神社で禊の生活をおくり、伊勢神宮に派遣される。
斎宮になることは、人間的な暮らしや自分の意思・希望を捨てて聖女として生きることを強いられる。その一方最大の栄誉を与えられたことでもある。
嵯峨は都からはるか離れたところにある別世界であった。
皮付きの材木で造られた黒木の鳥居
ここから聖地。
禊とは
禊は心身を清める儀礼で、食べ物、話しことばなどさまざま穢れているとされるものを排除されたなかで、神を拝む日々をおくる。
炊事の火も特別に斎宮用におこした聖火が用いられる。
飛鳥時代、天武天皇の娘が最初の斎宮。
野宮神社の斎宮行列
野宮神社では10月に斎宮行列のイベントが開催される。
『源氏物語』、『徒然草』、謡曲「野宮」のなかの野宮神社
『源氏物語』
紫式部『源氏物語』の第10帖「賢木(さかき)」の巻に描かれている。
光源氏の愛人の六条御息所の娘は斎宮に選ばれ野宮神社で生活をおくっていた。
六条御息所は光源氏への思いを断ち切ろうと娘に同行して伊勢にいくことを決意する。
光源氏はすでに六条御息所への愛情を失っていたが野宮神社へ向かい、2人は対面する。
光源氏は六条御息所の伊勢行を止め、六条御息所の心も揺らぐが決定は変えられず未練を残しながら伊勢へ立つ。
別れの場面ではあるが、野宮神社は縁結びの御利益がある。
『徒然草』、謡曲「野宮」
吉田兼好『徒然草』に「斎宮の野宮におはしますありさまこそ、やさしくおもしろきことのかぎりとおぼえしか・・・」と触れられている。
一方、謡曲「野宮」では斎宮に選ばれた悲しみをうたっている。