◎鳥居の”トンネル”がある。
◎全国30,000の神社の総本宮。
◎キツネ像と「お塚」が数多くある。
ゆかりの人物:秦氏
創建:奈良時代と考えられている
伏見稲荷にはなぜあんなに多くの鳥居があるのか。
伏見稲荷(ふしみいなり)といえばぎっしりと並べられた鳥居だ。
隙間なく建てられていてトンネルのようになっている。
この鳥居は千本鳥居とよばれ、実際には約一万基がたっている。
これらの鳥居は伏見稲荷で願いをかけて、かなった人々が御礼に奉納したものだ。
江戸時代以降に行われるようになった。
伏見稲荷にこれだけ奉納が寄せられる理由として二つのことがあげられる。
伏見稲荷大社は全国の神社の総本宮
伏見稲荷大社は、平安時代の法律事典『延喜式』に名神大社として挙げられていた。
名神大社(みょうじんたいしゃ)は朝廷から神に奉献する品を奉って祭神を祀る神社。
この時代から、全国津々浦々に至るまで広く信仰されており、現在は約3万社あるといわれる稲荷神社の総本宮となっている。
伏見稲荷は万能の神
伏見稲荷は”稲”荷のとおり、元は稲の豊作を司る神だ。
五穀豊穣、商売繁盛に加えて、縁結び、安産、万病平癒、学業成就などにもご利益のある万能の神様で、貴族のみならず民衆の信仰を多く集めた。
伏見稲荷大社では、現在も鳥居の奉納を受け付けている。
稲荷と鳥居、キツネの関係は?
鳥居はなぜあるのか。
鳥居は「通る」の意味をもち、神の霊地・聖域への門を表す。
これをくぐることによって心のけがれをとりのぞく気をよびおこし、聖地に踏み入ることができると考えられる。
鳥居はなぜ赤いのか。
赤は正確には朱色だ。生命・大地・生産の力を表す色とされている。
また、朱の原料は水銀で、木材の防腐剤ともなっている。
鳥居だらけ
キツネが稲荷神社にいるのはなぜ?
キツネは稲荷大神様のお使いとされている。
キツネはネズミを食べることから稲作のうえで益獣とされ、山と里を往来することから、山の神と田の神の化身動物とも信じられてきた。
また民族学者の五来重によると、”キツネの古語は「ケツネ」であり、「ケ」は「食」の古語で「ネ」は「根」と書き、「ケツネ」とは「食の根源」を表している”という説もある。
稲荷大社には多種多様なキツネ像が置かれている。
キツネ型水口。鋳物師・今村久兵衛作。今村は大阪城天守閣鯱で有名。
なぜ稲荷神社なのか。
稲荷大社の起源は、渡来人・秦氏が関係しているといわれる。
秦氏は朝鮮半島の新羅出身と考えられている渡来人で、先進技術を日本にもらたし、日本国建設に大きな影響をもった氏族。
秦氏の祖先が餅を的にして矢を射たところ、餅は白鳥となって稲荷山の一の峰に飛んで、留まったところから稲が生えてきた。
その地に社を建立して「いなねり」社を奉ったとされる。
「稲成り」がのちに「稲荷」となった。
「お山めぐり」をしよう。
伏見稲荷大社のみどころは、名所の千本鳥居だけではない。
鳥居のトンネルをくぐってそのまま山にはいり、稲荷山めぐりをすると独特の雰囲気をあじわうことができる。
もうすぐ山頂、四ツ辻
四ツ辻からの眺め
まだまだ鳥居。
山頂
山頂にも鳥居
「独特の雰囲気」をかもしだすのは、これでもかとついている小さな鳥居とキツネ、そして多数の石だ。
多数の石は「お塚」といわれる。
「お塚」は信仰者が稲荷大神様におのおの別名をつけて石にお名前を刻んで、奉納したもの。
山道にぎっしりとお塚、キツネ、鳥居が密集している様子は不思議な世界に迷い込んだような体験だ。
薬力の滝行場
不動明王が見守ってくれている。