【退蔵院 妙心寺塔頭】枯山水庭園「元信の庭」 池泉回遊式庭園 余香苑 瓢鮎図

◎妙心寺が一時途絶えた年の翌年に建立された
◎枯山水庭園、池泉回遊式庭園がある
◎山水画の始祖・如拙作の『瓢鮎図(ひょうねんず)』(複製)がある。

ゆかりの人物:狩野元信(「元信の庭」作庭)、中根金作(余香苑作庭)
創建:室町時代

「退蔵」とは、”人知れずよい行いを積み重ねる”という意味


退蔵院の本寺は妙心寺。
妙心寺は足利義満の弾圧により一時途絶えたことがある。
途絶えたのは1403年、29年後の1432年に復活した。

退蔵院は途絶えた翌年に建立された。
僧は妙心寺を去ることを余儀なくされる厳しい状況のなか、退蔵院を建立した無因宗因禅師は兵庫県の寺で静かに暮らし、権力へなびくことはしなかった。

「退蔵」とは、”人知れずよい行いを積み重ねる”という意味。

1467年の応仁の乱で焼失し、現在の建物は1597年に再建されたもの。

親切な説明書きもあり、観光客フレンドリーな寺院。

退蔵院の三つの庭

退蔵院には室町時代に狩野元信によって造られた枯山水庭園「元信の庭」、昭和時代に庭師・中根金作によって造られた余香苑(よこうえん)、小さな枯山水庭園・陰陽の庭、の三つがある。

枯山水庭園 「元信の庭」


室町時代の絵師・狩野元信による作庭。
元信は本来絵師であるが、晩年にこの庭をてがけたと伝わる。


常緑樹が主で、一年中変わらない「不変の美」を象徴している。

通常拝観では横からだが、特別拝観の時は方丈から正面で見ることができる。

一文字型手水鉢

池泉回遊式庭園 余香苑


著名な昭和の作庭家・中根金作による造園。
幅広くなだらかに傾斜がかかった広々とした空間に、悠々たる水の流れ、植物、石が配置されていて、実際に歩いて周ることができる。

三段の滝

陰・陽の庭

受付から余香苑へ行く途中に、陰の庭、陽の庭がある。
敷き砂の色が異なり、物事や人間の二面性を表している。
陰の庭には石が8個、陽の庭には7個置かれている。

陰の庭

陽の庭

如拙(じょせつ)作『瓢鮎図(ひょうねんず)』【国宝】


如拙は室町時代の画家で日本の水墨画を開拓した人物。
如拙が、足利義持の命により描いたもの。

ひょうたんでなまずを捕らえようとしている様子が描かれている。

「ひょうたんなまず」はぬらりくらりととらえどころがなく要領を得ないことをいい、この画はこれを風刺した禅画。

画の上部に文字が書かれている。
これは、将軍・足利義元が京都五山の禅僧31人に「ただでさえ捕まえにくいなまずを、こともあろうにひょうたんで捕まえようとするのはこれいかに?」とお題を出した際の僧らの回答。

現存する彼の作品の中で最高傑作といわれている。
退蔵院で見られるのは複製で原本は京都国立博物館に保存されている。

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