【仁和寺】初代から代々皇室出身者が住職となっていた寺。菅原道真が腰掛けた石がある

◎日本最初の門跡寺院
◎菅原道真が腰かけたとされる石がある
◎御室桜が有名
◎将棋「竜王戦」が行われる

ゆかりの人物:宇多天皇(創建)
創建:平安時代

日本最初の門跡寺院 約1000年30代天皇家出身の住職

仁和寺(にんなじ)は平安時代の888年(仁和4年)、宇多(うだ)天皇によって完成した。
仁和に完成したので仁和寺とした。
宇多天皇は譲位後出家し、仁和寺最初の住職となった。
以来、明治維新まで約1000年間、代々天皇の皇子など皇室出身者が継承した。

皇室関係というと厳格そうなイメージだが、宸殿にて将棋の竜王戦が行われたり、青もみじのライトアップが開催されたりなど観光客フレンドリーなお寺。

また、国宝、文化財をデジタル撮影して高精細画像で展示するなど先進的。

門跡寺院とは

門跡は「一門の法跡」のことで、宗派を開いた人物から弟子へと継承されていく教えをいう。
後に一門をとりまとめる僧もさすようになった。

出家して仁和寺に入った宇多法皇を後年、門跡とよぶようになり、以降、皇族が住職に入り創建した寺院を門跡寺院とよぶようになった。またその住職を門跡とよぶようになった。

宇多天皇とは

宇多天皇菅原道真を抜擢した天皇。
この頃、朝廷では藤原家が権力を強くしており、宇多天皇も藤原の力で天皇となった。
宇多天皇は藤原の対抗として藤原系ではなく優秀な役人であった菅原道真を重用した。

宇多天皇の後を継いだのは醍醐天皇
醍醐天皇菅原道真を大宰府へ流した天皇。
醍醐天皇は藤原の陰謀に乗ってしまったのだ。

菅公腰掛石

道真が大宰府に流される際、仁和寺の住職となっていた宇多法皇をたずね、その時に座って待っていたといわれる石「菅公腰掛石(かんこうこしかけいし)」が仁和寺内にある。
水掛不動明王が立っている岩がそれ。
不動明王に長いひしゃくで水を掛けると願いが1つ叶うといい、「一願不動」とよばれる。

仁和寺の御室桜(おむろざくら)


仁和寺の境内に御室桜と称される桜がある。
遅咲きで樹の高さが低いことで知られている。

「御室」はもとは寺院内の僧の住まいである「室」に「御」がついたもの。
出家して僧になった天皇が住んだため。

仁和寺のある地名にもなっている。

仁和寺の建築物

仁和寺は応仁の乱で西軍の陣になり、攻撃され焼失した。
本格的に再興したのは、徳川3代将軍家光の時代。
再建においては、まず御所の内裏の建替えを行い、取り壊された建築物を仁和寺に移築するという方法がとられた。さすが門跡寺院ならでは。
現在の金堂と御影堂がそれにあたる。

金堂【国宝】

金堂は江戸時代・徳川秀忠の時代に、御所の紫宸殿を移築したもの。

御影堂【重要文化財】

御影堂(みえどう)は江戸時代・徳川秀忠の時代に、御所の清涼殿を移築したもの。ただし、こちらは大幅な変更が加えられている。

観音堂【重要文化財】

五重塔【重要文化財】

九所明神(くしょみょうじん)


九所明神は、仏教寺院の境内の中にある神社。
仁和寺を守護する。
神仏習合の伝統の表れ。
左殿:賀茂上下・日吉・牛頭・稲荷
本殿【重要文化財】:八幡三神
右殿:松尾・平野・小日吉・小野島

石灯籠は織部燈籠様式で、柱上部が円形をしており宝珠が丸いのが特徴。

仁和寺御所庭園

御殿

白書院

宸殿

将棋の竜王戦の会場としても有名。

第三十四期 第二局 竜王:豊島将之、挑戦者:藤井聡太 の対局(令和3年10月22,23日)の記録展示。

第三十六期 第二局 竜王:藤井聡太、挑戦者:伊藤匠 の対局(2023年10月18日)の記録展示。

黒書院

大正から昭和の画家、堂本印象筆により襖絵が描かれている。
四季花鳥の間

柳鷺の間

松鷹の間

秋草の間

御殿回廊


白書院・黒書院・宸殿・霊明殿を回廊でわたっていける。

仁和寺には宸殿から見た南庭と北庭がある。

南庭


向こう側に見える門は天皇と皇族だけが通ることができる勅使門

北庭


明治末から大正期に作庭家・小川治兵衛(屋号・植治)によって整備された。

五重塔を借景として利用し、手前の茶室・飛濤亭(ひとうてい)を中心に設計されている。

御室八十八カ所霊場めぐり

仁和寺には御室八十八ヶ所霊場が設けられている。
本来の四国八十八カ所霊場のお遍路をする機会が得られない人に向け、ミニお遍路ともいうべく、コンパクトに巡ることができる八十八カ所札所のコースが設定されている。

そもそもお遍路とは?

真言宗を開いた空海が四国の讃岐(香川県)出身で、四国での修行の際、八十八カ所の寺院で霊場を開いた。

のちに修行僧が八十八カ所霊場を巡礼するようになり、その巡礼をお遍路といった。

これが広く一般に行われるようになった。

全国にある”ミニお遍路”

本場四国で本格的なお遍路をするのは簡単ではない。
そこで、全国の真言宗の寺院では、巡りやすいようにオリジナルな札所コースを設けている場合がある。
巡れば本場四国八十八カ所霊場と同様なご利益があるとされる。

仁和寺も真言宗の寺院であるため、御室八十八カ所霊場が設けられているというわけだ。
1827年、四国八十八ヶ所霊場の砂を持ち帰って仁和寺の裏山に埋め、その上にお堂を建てたのが始まり。


国宝

金堂
阿弥陀三尊像
薬師如来坐像
孔雀明王像
三十帖冊子

重要文化財

仁王門
中門
五重塔
観音堂
御影堂
経蔵
九所明神本殿
増長天立像
多聞天立像

宗派

真言宗

日本のおもな宗派

密教系 天台宗
真言宗
浄土宗系 浄土宗
浄土真宗
日蓮宗
禅宗系 臨済宗
曹洞宗
黄檗宗

仁和寺ホームページ

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