【大徳寺 塔頭】戦国大名、僧・天皇による創建など20以上

ひとくちに「大徳寺」といっても、お寺一つがあるわけではない。
大徳寺には塔頭が20以上もあり、それらを全部合わせて大徳寺だ。
塔頭は、高僧が引退後に敷地内に建てたり、大名・武将や豪商がスポンサーとなって菩提寺として建てたりする寺。

大徳寺の塔頭のうち半分以上が戦国大名によって建てられている。

そのうちの一つの「総見院」は織田信長の菩提寺。

戦国大名の塔頭が多くあるわけ

慣例的に、将軍が建てた禅寺では、大名は忠誠を誓うしるしにそのなかに争うように塔頭を建てることが多かった。
大徳寺は建てたのは将軍ではないが、豊臣秀吉が織田信長の菩提寺「総見院」を創建したことをきっかけに秀吉に忠誠心を表そうと大名らが寄進したりしたことなどで数が増えたと考えられる。

大徳寺塔頭と茶席

常時公開なのは4カ所。ほかは非公開が多い。
特別公開を楽しみに待ちたい。
塔頭にはほぼ茶室が併設されており、大徳寺には日本一多くの茶席がある

朝鮮外交使節団が宿泊

豊臣秀吉が朝鮮出兵する前、朝鮮からの外交使節団が来日した際、総見院などに宿泊した。
また徳川家康の時代、戦後処理で朝鮮使節団が来日した際も総見院、真珠庵、興臨庵、聚光院、大仙院などに宿泊した。

大徳寺の塔頭寺院

戦国大名により創建

総見院(そうけんいん)

創建者: 豊臣秀吉織田信長の菩提のために建立。
茶席:寿安席(じゅあんせき)
朝鮮使節団が宿泊した。
[通常非公開]

龍源院(りゅうげんいん)

創建者:畠山義元(能登)、大友義親(豊後)。
大徳寺の塔頭の中で一番古い。
龍吟庭・東滴壷・阿吽の石庭などの庭。

[常時公開]

瑞峯院(ずいほういん)

創建者: 大友宗麟
本堂【重要文化財】
蓬莱山式庭園「独坐庭」、「閑眠庭」。「閑眠庭」は昭和の庭師・重森三玲の作。
茶席:安勝軒(あんしょうけん)、余慶庵(よけいあん)

[常時公開]

黄梅院(おうばいいん)

創建者:豊臣秀吉、小早川隆景
前身は織田信長が父・織田信秀の菩提を弔うため建立した黄梅院。
庫裏、唐門【重要文化財】。
茶席:昨夢軒(さくむけん)、不動軒(ふどうけん)
庭園:直中庭(じきちゅうてい)。千利休が66歳の特に作庭した庭。豊臣秀吉の希望による瓢箪型の池がある。瓢箪は秀吉の馬印。
かたわらに、加藤清正が朝鮮出兵の際に持ち帰った燈籠が置かれている。

一休、利休の「休」の由来となった、大徳寺開山の大燈国師宗峰妙超(だいとうこくししゅうほうみょうちょう)の書「自休」の額がかかっている。
「自休」とは、これから荒波に向かっていく前に一度立ち止まって自らの行動を考えよ、といった意味。

[通常非公開]

興臨院(こうりんいん)

創建者:畠山義総(よしふさ)。焼失後、前田利家が再建。
茶席:涵虚亭(かんきょてい)
朝鮮使節団来日の際、護衛の対馬藩主や五山僧が宿泊した。

方丈庭園

涵虚亭


[通常非公開]

高桐院(こうとういん)


創建者:細川忠興。京都での肥後細川氏の菩提寺。細川忠興(三斎)や妻・ガラシャなどの墓がある。その他、出雲阿国のものと伝わる墓もある。
細川忠興は千利休のお茶の弟子。
茶席:松向軒(しょうこうけん)、鳳来(ほうらい)
[通常非公開]

養徳院(ようとくいん)


創建者:足利満詮(みつあき。足利義満の弟)
茶席:閑雲席(かんうんせき)
[通常非公開]

芳春院(ほうしゅんいん)


創建者:前田利家夫人芳春尼
加賀前田利家他歴代前田氏の京都における菩提寺。
茶席:松月軒、落葉亭
[通常非公開]

大光院(だいこういん)

創建者:豊臣秀吉、豊臣秀保
豊臣秀長の冥福を弔う為に建立した。秀長の墓がある。
茶席:蒲庵(ほあん)
[通常非公開]

龍光院(りょこういん)

創建者:黒田長政
茶席:密庵(みったん)【国宝】。小堀遠州好み。
[通常非公開]

正受院(しょうじゅいん)


創建者:関盛衡(せきもりひら)
茶席:瑞応軒(ずいおうけん)
[通常非公開]

三玄院(さんげんいん)


創建者:石田三成、浅野幸長、森忠政。
茶席:篁庵(こうあん)。古田織部好み。京都府指定文化財。
古田織部や石田三成の墓がある。

[拝観謝絶]

聚光院(じゅこういん)


創建者:三好義継
千利休の墓碑がある。
三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)の墓所になっている。
本堂【重要文化財】。
狩野永徳筆の国宝障壁画で知られる。
千利休によって造られたとされる本堂前庭の「百積庭」は史蹟・名勝。
茶席:閑隠席(かんいんせき)、桝床席(まっしょうせき)
朝鮮使節団来日の際、護衛の対馬藩主や五山僧が宿泊した。
[拝観謝絶]

一休、小堀遠州、天皇、僧らにより創建

大仙院(だいせんいん)


創建者:宗亘(そうこう)
方丈は日本最古の方丈建築【国宝】。
枯山水庭園は特別名勝・史跡。
千利休ら茶人と関係が特に深い。
書院拾雲軒では、宮本武蔵が沢庵和尚に剣道を教えた。
茶席:生苕室(すいしょうしつ)、拾雲軒(しゅううんけん)
朝鮮使節団来日の際、護衛の対馬藩主や五山僧が宿泊した。
[常時公開]

雲林院(うんりんいん)

創建者:淳和天皇
[常時公開]

真珠庵(しんじゅあん)


創建者:一休
村田珠光作と伝わる庭園(史跡・名勝)がある。
15の石が7・3・5に分けて組まれていることから「七五三の庭」とよばれる。
曾我蛇足、長谷川等伯の障壁画が知られる。
茶席:庭玉軒(ていぎょくけん)
朝鮮使節団が宿泊した。
[通常非公開]

徳禅寺(とくぜんじ)


創建者:一休再建
客殿【京都府指定文化財】。
襖絵は狩野探幽筆。
茶席:向東庵(こうとうあん)、骨清(こっせい)
[通常非公開]

如意庵(にょいあん)

大徳寺最初の塔頭。
[通常非公開]

玉林院(ぎょくりんいん)


創建者:曲直瀬正琳(まなせしょうりん。天皇や皇族の医師)
茶席:南明庵(なんめいあん)【重要文化財】、蓑庵(さあん)【重要文化財】、霞床(かすみどこ)
[通常非公開]

龍翔寺(りゅうしょうじ)

茶席:韜光庵(とうこうあん)
[通常非公開]

大慈院(だいじいん)


茶席:頓庵(とんなん)
[通常非公開]

龍泉庵(りょうせんあん)

明治維新後廃絶したが、1958年(昭和33年)紹溪尼(佐々木ルース夫人)が日米第一禅協会日本支部を設立し、庵を復興。
[通常非公開]

孤篷庵(こほうあん)


創建者:小堀遠州
茶席:忘筌席(ぼうせんせき)【重要文化財】、山雲床(さんうんしょう)
[拝観謝絶]

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