◎民衆の仏教・浄土宗の総本山
◎徳川幕府の「要塞」との見方も。
◎日本三大梵鐘の鐘がある。
◎豊臣秀吉の息子秀頼に嫁いだ2代将軍徳川秀忠の娘・千姫の墓がある。
ゆかりの人物:法然、徳川家康
創建:鎌倉時代
知恩院は浄土宗の総本山
浄土宗は民衆の宗教
奈良時代、平安時代は宗教は国家や貴族のものだった。
鎌倉時代になり、権力が腐敗すると、民衆を救うための宗教が生まれてくる。
その最初が浄土宗だ。
浄土宗は「南無阿弥陀仏」ととなえるだけで救われるという教えで、民衆を中心に広まっていった。
その教えをといたのが法然上人。
“そんな甘い教えに自分たちの教徒を奪われたらたいへん”ということで、従来の仏教からは敵視された。
法然は島流しにあうなどの弾圧をうけ80歳で死去した。
弟子により現在の知恩院(ちおんいん)の勢至堂の場所に霊廟が建てられた。
現在の勢至堂
その後1234年、弟子の源智(げんち)が廟を造りなおしたものが知恩院。
徳川家康が再興
知恩院が現在のような大きな寺院になったのは江戸時代になってから。
徳川家康が浄土宗を信仰していたことがあり、知恩院を永代菩提所と定め多額の寄付を行い広大な土地にいくつもの仏教施設を建てた。
徳川家康の要塞か?
なぜ、家康はこの地、知恩院に立派な仏教施設を建てたのか。
ひとつの見方として、知恩院は徳川家康が京都御所を見張るための要塞だったのではという説がある。
皇室は政権にとって都合の良い関係性を保ち続けたい存在である。
皇室が他勢力と組んだりすることは最大の脅威であった。
そのため、家康は知恩院を前線基地として京都御所を見張ったたという説である。
それは、知恩院の地理的位置、造りから類推される。
知恩院の地理的位置
背後は山
東に東山を背負い自然の要塞となっている。
京都御所-二条城-知恩院と三角形の関係
家康が建造した城に二条城がある。
二条城も京都御所に”睨みをきかせる”意図をみることができる。
【二条城】徳川家康が天皇家を牽制するための建物
◎徳川家康が創建した。京都での宿泊施設として。 ◎家康が京都御所を牽制するための建物。 ◎二の丸庭園は茶人で作庭家の小堀遠州作。 ◎障壁画は狩野探幽作。 ◎二の丸御殿の廊下は歩くと「キュッ キュッ」と鳴り「うぐいす張りの廊下」とよばれる。 ◎当時希少価値のあったソテツが植えられてい...
知恩院の造り
高くて巨大な三門
知恩院はとにかく、高いところにある寺だ。
華頂山の斜面をいかして築かれており、石段を登った上に三門がある。
三門は城郭のようにもみえ、二階からは京都御所を一望できる。
華頂山は東山三十六峰のひとつで知恩院の正式名称は華頂山知恩教院大谷寺。
三門の額の「華頂山」は、霊元上皇の直筆。
三門をくぐってさらに石段を上ったところに法然上人の御影(みえい)が祀られている御影堂がある。
御影堂(国宝)
鴬張りの廊下
知恩院には鴬張り(うぐいすばり)の廊下がある。
鴬張りの廊下は、館に刺客などが忍び込んだときの警報音として機能するものであって、寺にはそぐわないとも考えられる。
知恩院と徳川家康
知恩院の僧が徳川家康の祖先にあたるということで、家康は知恩院を菩提寺とした。
家康は旗印に「厭離穢土欣求浄土(おんりえどごんぐじょうど)」と掲げており浄土信仰に厚かったことがわかる。
岐阜関ケ原古戦場記念館の掲示
以来、知恩院は徳川の庇護をうけ隆盛となる。
日本三大梵鐘の鐘
日本三大梵鐘
知恩院
方広寺
東大寺
知恩院の大鐘楼は、除夜の鐘の際、僧侶17人で綱を引いて鳴らす。
知恩院の庭園めぐり
知恩院には庭園が3カ所ある。
・名勝 方丈庭園
・山亭庭園
・友禅庵
知恩院は広大で山の上にあるので3庭園めぐりはちょっとしたハイキング的に楽しい。
知恩院の方丈庭園
こぶりの庭園だが、形のよい燈籠やユニークな形の大きな石がそこここにある。
25菩薩の庭
阿弥陀如来二十五菩薩来迎図を表したもの。
二十五菩薩来迎図は、「臨終の時に念仏をとなえれば阿弥陀如来と二十五菩薩が極楽浄土に迎えに来てくれる」様子が描かれている。
石は阿弥陀如来と二十五菩薩、植え込みは来迎雲を表している。
>> 知恩院ウェブサイトへ
二十五菩薩庭園を出て、権現堂をとおり、小橋をわたり小径を昇ると先に小さな門がある。
山亭庭園への入り口だ。
権現堂
徳川家康、秀忠、家光三代の霊を祭る。
山亭庭園
勢至堂の客殿。
山の上から京をみわたす遠景を借景としている大胆な庭。
千姫は徳川秀忠の娘で、豊臣秀頼に嫁いだ。秀頼の死後は江戸で暮らした。
70歳で亡くなり伝通院に葬られたが、徳川ゆかりの知恩院にもお墓がある。
友禅苑
友禅染の始祖宮崎友禅生誕300年を記念して、昭和29年に改修造園された庭。
作りこんだしくみのようなものは感じられないが、広々として気持ちがいい。
知恩院の七不思議
知恩院には七不思議がある。
①鴬張りの廊下(うぐいすばりのろうか)
②白木の棺(しらきのひつぎ)
③忘れ傘(わすれがさ)
④抜け雀(ぬけすずめ)
⑤三方正面真向きの猫(さんぽうしょうめんまむきのねこ)
⑥大杓子(おおしゃくし)
⑦瓜生石(うりゅういし)
このうちなるほどと思うのが、①、④、⑤、⑥.
②はもともと見ることができず、③はよく見えない、⑦は離れた黒門そばにあるが、もうひとつ。
①、④、⑤、⑥は方丈庭園拝観のコースでみることができる。
画像はパンフレットより。
国宝
三門
御影堂
阿弥陀二十五菩薩来迎図
法然上人行状絵図
菩薩処胎経
上宮聖徳法王帝説
重要文化財
集会堂
経蔵
方丈
唐門
大鐘楼
勢至堂
宋版一切経
京都府有形文化財
御廟
国指定名勝
方丈庭園
宗派
浄土宗
日本のおもな宗派
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