【六波羅蜜寺】空也像、平清盛坐像が有名。六波羅蜜の意味とは?

◎空也上人立像がある
◎平清盛坐像がある。
◎六波羅探題があった。

ゆかりの人物:空也(創建)、平家(本拠地)
創建:平安時代(951年)

空也上人が六波羅蜜寺を建てた

空也上人って誰? なにをしたの?

空也上人は、平安時代の僧侶。
際立って伝えられているのが、仏教を庶民のものとしたことだ。

それまで仏教は国家権力・知識階層のための宗教であった。
仏の道を学び・つくすことで救われ、死後極楽浄土へ行けるという教えは一般庶民に手が届くものではなかった。

これを「南無阿弥陀仏とひたすらとなえれば貴賤の区別なく極楽浄土へ行ける」と説いたのが、空也だった。

当時、都では飢餓・疫病が流行し多くの死者がでて悲惨な状況にあった。
重ねて武士の台頭による戦乱がおこり人々は不安のただなかに置かれていた。
空也は弔われることもなく打ち捨てられた骨を集め燃やし念仏を唱え供養したと伝えられる。

空也の行いにより教えは瞬く間に庶民に浸透し信仰を集めた。

空也上人、寺を建てる

空也は疫病による死者を嘆き、自らが彫った十一面観音像を車に乗せ町をめぐり、観音像に供えたお茶を病人に飲ませると病人は回復したという。

空也はこの十一面観音像を本尊とした寺の建立を許され「西光寺」を建てた。これが六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)の始まり。

お茶を点てて庶民にふるまう風習は現在も続いていて、皇服茶として正月三日間授与されている。

空也像の小さな仏


空也像では、口から小さな像が6体飛び出している。
これは阿弥陀如来で「南・無・阿・弥・陀・仏」の声が阿弥陀仏の姿に代わったという伝承を表している。

空也像の衣と杖

空也像の空也は鹿の皮の衣を着て、鹿の角を杖の上につけている。
空也には仲良しの鹿がいたのだが、それを猟師が射殺してしまった。
空也は大変悲しんで皮と角を譲り受け生涯身から離さなかったという。

六波羅蜜寺の名前の由来

空也は951年西光寺を建立し、972年に亡くなった(70歳とも76歳ともいわれる)。後を継いだのが弟子の中信。
中信は5年後の977年、西光寺を六波羅蜜寺と改称し天台別院とした。

ロクハラの意味

ロクハラは東山のすそ野、の山”麓”の”原”が語源の六原という地名からといわれ、また西光寺の周囲に髑髏が多くでたから髑髏原(ドクロハラ)→ロクハラともいわれる。
髑髏が多くでたというのは、この辺りは遺体が置かれることになっていた鳥辺山への道だったことから。

近くにある六道珍皇寺の「六道」も鳥辺山に関係している。

六波羅蜜とは

「六原にある寺」を中信は仏教語の六波羅蜜をあてて六波羅蜜寺とした。
六は仏教の六つの徳。
・布施・持戒律(じかいりつ)・忍辱・精進・禅定・智慧。

波羅蜜は悟りの世界にいきつくこと。

平清盛像 なぜ六波羅蜜寺にあるのか

六波羅蜜寺の彫刻で空也上人像と並ぶ傑作として平清盛像がある。
多くの教科書にも載っている。

六波羅蜜寺と平家は関係がある。
平清盛の祖父・正盛が六波羅蜜寺院修復に布施をしたことに始まり、父・忠盛の時代には軍を駐屯させ居住の館を構えるようになり、清盛の時代には周囲を平家が囲むほどになり平家の本拠地となった。

現在境内にある平清盛公の塚

平家が都落ちする際、この地に火をつけ六波羅蜜寺も焼失した。

その後再建もたびたび火災に襲われるが、豊臣秀吉によって本堂が修理された。
明治の廃仏毀釈で大幅に縮小をよぎなくされ、現在に至っている。

六波羅探題

平家を滅ぼして成立した鎌倉幕府は、平家の本拠地である六波羅蜜寺周辺を接収し、六波羅蜜寺の南北に六波羅探題をおいた。

六波羅探題は鎌倉幕府が京都の朝廷を監視するためにおかれた出先機関。
西国で起きた紛争の処理・裁判、武士による事件の取り締まりなどを行った。

平氏六波羅第・鎌倉幕府六波羅探題跡。

文化財収蔵庫 令和館

空也上人像、平清盛像など重要文化財が展示されている。
拝観料は大人 600円。
本物がガラスケースをはさんで近距離で見ることができるのでお薦め。


国宝

木造十一面観音立像(秘仏)

重要文化財

本堂
薬師如来坐像[平安時代] 地蔵菩薩立像 〃
多聞天立像 〃
広目天立像 〃
持国天立像 〃
増長天立像[鎌倉時代] 地蔵菩薩坐像 〃
吉祥天女像 〃
閻魔大王像 〃
弘法大師像 〃
空也上人像(運慶の4男康勝・作) 〃
平清盛坐像 〃
運慶坐像 〃
湛慶坐像 〃

重要有形民俗文化財

泥塔
皇服茶碗
版木
萬燈会関係用具 2300余点

宗派

真言宗(秀吉再建時から。「六波羅蜜寺」になった時点では天台宗)

日本のおもな宗派

密教系 天台宗
真言宗
浄土宗系 浄土宗
浄土真宗
日蓮宗
禅宗系 臨済宗
曹洞宗
黄檗宗

西国三十三所

西国十七番札所

六波羅蜜寺ホームページ

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